Truth Where Beauty Lies.

prologue 美は時の中に宿る

prologue 美は時の中に宿る

mizunomiwako1コメント

時の女神が宿る場所。 そこは、内側に息づく私を、愛おしく想う時の中に、在る。   人生は儚く、そして短い。 今この瞬間にも地球上のどこかで、 ひとつの人生が始まり、ひとつの人生は終わりを迎える。  細胞は、絶え間なく動き続け、変化をくりかえすものだ。 生と死のあいだに ”たゆたう” 時の流れ。 ためらうことのくり返しの日常に、 わたしが生きたと実感できる場所は、どこにあるのだろう。   鏡に映る”わたし”。 時間に追われ、日々のルーティンに追われ、生きている実感も持てずに、 ただ動いているだけのわたし。 まるで、鏡の中のわたしは誰かにつくられた虚像のようで。 白い彫刻のような無機質な笑みが、”私”を吸い取ってくる。   「この人は誰?」 「こんなの、私じゃない」 鏡の中の”わたし”に向かって、叫びたくなる。 いつのまに私は、わたしという存在の手を放してしまったのだろう? いったいどこで、私はわたしを見失ってしまったのだろう? 鏡の中に、私はいない。 私は、いない。 私は、今この瞬間の中にすら存在していない。   時の流れのなかに、私はいないんだ。 こんな自分をみたくない。そう思っても、成す術さえわからない。 だって私は、すべてを”他人のせい”にしてきたのだから。 誰かの顔色を見て、誰かの言葉に従い、誰かに振り回されて、 時間だけが過ぎ、空しさだけを嚙みしめて過ごしてきた。...

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